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一人目の分身

連載エッセイ

第76回
「不幸の知らせ」

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波の音聞けます

Photo and essay * Photographer * JIMMY 工藤氏


 本当に長いことご無沙汰していました、すみません、この一年間は色々と面倒なことや、困り事、体調不良、仕事が忙しすぎて、ライフワークがストップしていました。

 体調不良 平成15年の9月と今年の4月に2度の大腸の手術を受けました(内視鏡的手術と言います)。

 最初は日常生活で不整脈が出始めたのが、変調の序曲でした。

 以前連載で書いていましたが、とにかく海に行っても潜るのを断念することや、温泉や風呂に入るにも、息切れで苦しい状態になったり、不整脈が出て、海・温泉に入るのを躊躇、断念するほど調子がすぐれなかったのです。

 不整脈は循環器の先生に診てもらい、色々な西洋医薬を試したのですが、一向に完治しません。
たまたま手元にあったNHK出版の漢方薬の本があり、ぼんやりと見つめていると不整脈に効く薬が紹介されていて、メモに残しておきました。

 後日受診日にそのメモと本のコピーを持参し、担当医にお話し、その薬を処方してもらう事に成功しました。先生の熱意もあったかとも思います。

 飲み始めると、3日も過ぎた頃でしょうか、徐々にですが効果がはっきりと出てきました。

 そうこうしているうち、50歳の曲がり角を過ぎたある日、生まれて始めて「1日人間ドッグ」を受けました、事前に2日間検便法で潜血反応が出たのです。その場で内視鏡カメラ検査の日取りを決めさせられました。

 さあ「大腸カメラ」検査です。検査前夜から絶食。翌朝6時から下剤を2リットル飲み始めます。飲み始めてほどなく、便意をもよおしはじめ、10時頃までに10回くらい通ったでしょうか、お腹は痛くはならいけどほんとうに辛かったです。便を人工的に流すのと、脱水症状でしょうか結構喉が渇くのを覚えました。お腹も空きます。
こんなに便意をもよおすので、到着するまでが心配です。

 病院に着いてから、直ちに事前処置の注射を受けました。程なくボーッとした状態でスタンバイ。
内視鏡室からお呼びが掛かりました、そこまでは、自力で歩くのですが、足に力が入りません、ふらふらしながら、やっと診察台に揚がりました様は目に入るもの全てがスローモーションです。

  ほどなく主治医の西岡先生が見えられ、黒ビカリした長い筒に先がとても光り輝いているチューブワームの先を私の肛門に突入して来ました。・・・・・・・・。

 術中色々な部位を眺めているようですが、その動きが止まり一箇所念入りに診ているようです、私はモニターを見る誘惑に負け体を幾分右側によじり覗いてしまったのです。
そこにはエイリアンに侵食されたホルモンが赤い色?青い色で覆われていたのです。
すぐさまに先生に観ないで下さいと怒られました。

  正直言いますと、正常の綺麗なものでしたら先生も自信をもって観るのを進めてくれるでしょうが。
自分の体では無く何か別な代物を見たような、汚いものを観たように思えました。
  アノ青い色は染料なのかなとも、思いましたが、プチプチのクッション材のようにもみえます。

 その場、先生は工藤さんの体を今拝見した様子からいきますと「上向結腸」部分に腫瘍があります。悪性かもしれないので全身検査の必要と内視鏡的手術で除去しましょう。
大きさは3センチから4センチ+の大きさがあるそうです。

  あ〜これで私の短い人生が終わったと思いました、何故かと申しますと、大きく育ったのは殆どが悪性腫瘍のように聞いていたからです。
最悪全身に回り癌に侵される構図を・・。

  私の多くのお客様も闘病の結果、逝去されているのを経験しているものですから、なお更入院を一日も早く、手術で採って貰いたい気持ちで、不安な日々、毎日今か今かと首を長くして待っていたある日。

  暑い日の午後、私のすぐ下の弟のお嫁さんから電話です、珍しいなと聞き入ると声が小刻みに震えた状態での不幸の知らせです。

  とるものもとりあえず、家族とパンクしそうな悪い腹を抱えての横浜まで飛びました。私といい弟といい、ついてないなと、このときばかりは本当に呪いました。

 弟は苦労して東大の博士課程を修了し、大学で教授職、教鞭を執っていたのです。それこそ彼は大きな財産を沢山失いました。お葬儀には500人に近い参列を賜りこの場を借りて御礼を申し上げます。

  暑い横浜から帰ると程なく入院の案内、手術に臨みました。
 事前説明によりますと手術は1時間くらいの予定がえらく長く感じました、もうそれこそ息が苦しく呼吸が絶え絶え、傍にいた術場の看護士さんにお願いして、手を握ってもらいました。(正直手を当てて頂き、気持ちが安定しました)術後先生に聞くと2時間をはるかに越えていました。

 退院後検査結果を聞きに行きました。結果は「アデノーマ」良性腫瘍だそうです。このときは目頭から涙が滲みました。嬉しい誤算です。こんな誤算なら何度あっても良いものです。

 (おち) そんな気持ちでいるものだから6ヵ月後の3月に再検診で引っかかりました、なにか予感(体調)がしていましたが、同じ部位に又新しく隆起しているそうです、大きさは1.5cmあ〜やっぱり。

 先生は内視鏡的にもう一度採ってみましょうとの提案です、外科的に取ることも出来るようですが、腕に評判のある先生、穿孔の危険性も伴うけど、採ってみましょうとの言葉。
  心配が積もります、多くの友人で医療従事者に聞くと、内視鏡的には同じ場所は穿孔の危険が伴うので、同じ部位の2回目は開腹手術がほとんどのようです。前回と同じように入院・手術と済みました、5月中旬に病理検査結果が出ました、又も良性腫瘍とのことです。本当に神の悪戯に翻弄されているようです。

 自分としては、今では喫煙はやめ、深酒もしない、おまけに20年以上スポーツクラブを時間の許す限り週に2回通い健康に留意してきたつもりです。

 おせじだと思いますが、若くて健康そうにみえるのにと、言われますが、やっぱり歳相応と言いますか、51歳の体には違いは在りません、最近では白髪もちらほら増えてきました。

  あ そうです、術後に良いことがあります、それは不整脈が殆ど無くなり、息切れも無視しえるほどまでになり、安心してダイビングや温泉に浸かる事が出来るようになった事です、これが最大の成果だとおもいます、西岡先生ありがとうございます。

  さて連載エッセーのタイトルどおり遅くなりましたが南国沖縄の離島に行って参りました。日程は7月9日から13日の4泊5日で沖縄鳥尻郡座間味島に滞在、都合6本潜って参りました。

  今回一番驚いたのは那覇から近い黒島に11日に行ったところ、船が13艘停泊しています、目を疑いましたが間違い無くダイビングボートばかり。きっと人が多いのだろうなとの予測どおり、潜るとエアーカーテンがあちらこちらに壁を創っています。カメラをどこに向けても人が入り込み、ラッシュ状態です。那覇から直接ダイビングに来るのなら仕方がありませんが。日曜日は黒島を避けたほうがよさそうですね。特にびっくりしたのは、ガイドの清の親戚に水中で出遭い、握手とハグをしました、笑。

  同じ慶良間でも座間味村の管理下にあるポイント(サイト)には漁協協定があるようで、那覇からのダイビングガイドは難しいようです。ですから慶良間の海をもっと知りたければ、阿嘉島とか座間味島にステイしたほうが良い結果(写真)が得られるでしょうね。

  12日には北浜とミニオアシスとポイントは貸しきり状態でした。

 次回は「世界遺産」になるかもしれない知床半島、羅臼の海を潜って来ます。
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