| モルジブの海の感想は、私が行った海の中で一番男らしく、懐が深い海です。
 なぜかと言いますと、この海は何千とある小さな珊瑚の連なりで出来ていて、 真珠の首飾りのように並んでいる地形で、潮流が複雑に入り組んでいます。
 
 その潮流と潮流がお互いにぶつかり合いながら、上に上昇したり、下に下降したりしながら、 ダイバーを翻弄するので、あたかも大きな全自動洗濯機の中に紛れ込んだ、 
                      さかなのように揉み苦茶にされるのです。
 
 この様な状況ですから、モルジブのダイビングスタイルは他所と違います。
 潜るポイントが決まりましたら、潮の流れる遥か上流(この言葉は不適切ですが分かりやすくする為、あえて使います) に船を着け、そこから潜行しズーット川に流されながら着底します。
 
 そこで岩に掴まりながら(まるで鯉のぼりの、吹き流し状態)、ナポレオンや、サメ、 亀などの大型の魚類を見てから浮上です。
 
 浮上も又下流に向かってズーット流されながら徐々に水面に向かい、船に乗ります。 この様なダイビングスタイルがほとんどです。
 
 どのぐらいの潮流か説明しますと、まるで増水した川の中をダイビングしているのと同じで、 まずマスクが水流でもぎ取られそう、スノーケルはビュウビュウいいながら震えていますし、 
                      レギュレーターなどは、横を向くと海水が音を立ててなだれ込んできます。
 (私の器材が古く潮流対策用に製作されていない)ですから力の無い人は、 両手だけが体の支えになり『コイノボリの吹き流し状態』になるのです。
 カメラを持った人でも力の無い方は、ただ魚を見送るだけで終わってしまいます。
 
 私はといいますと、現地ガイドの猿まねで、片足を岩の間に突っ込み、体を斜めに持ち上げ、 支えてみますが中々思うように猿真似が出来ません。
 時々片手で体を支えて(吹き流し状態)写真を撮るのですが、 片手でカメラを顔の側まで引いてきて、潮に逆らわない様シャッターを押し、 
                      潮にカメラを持って行かれながら片手でフイルムを巻き上げる。
 (当然カメラホールドが甘くなりますから、 油断するとカメラが潮流と共にバイバイしなければならない)。
 なぜにダイバーはこの危険に挑戦する価値があるか、考察してみると
 
 (1)潮流があると小さな魚、中型の魚、大魚まで食物連鎖の構図が見ることが出来る。
 (2)自分の技術アップの為。
 (3)世界一の海を見に行って見たい。
 (4)魚の個対数魚種ともに世界に誇れるインド洋。
 (5)海水という物質を感じない透明度と明るい海色々有りますが、 この世界一の海にも欠点が有り、潮流のせいで綺麗な珊瑚が見れなく(枝サンゴ、テーブルサンゴ)、 
                      ほとんどががれきのようになっています。
 他方環礁の中のハウスリーフは真っ白な砂を背景に、生まれたばかりの小さな魚な達が沢山いる楽園で、世界の魚がここ から生まれ出るともいい、ユートピアを連想させるに十分な海でした。
 
 次回はマイクロネシアポンペイ島の水中遺跡のお話をしましょう
 
 つづく...。
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