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連載エッセイ

第17回
「モルジブの海」

波の音聞けます

Photo and essay * Photographer * JIMMY 工藤氏


モルジブの海の感想は、私が行った海の中で一番男らしく、懐が深い海です。

なぜかと言いますと、この海は何千とある小さな珊瑚の連なりで出来ていて、 真珠の首飾りのように並んでいる地形で、潮流が複雑に入り組んでいます。

その潮流と潮流がお互いにぶつかり合いながら、上に上昇したり、下に下降したりしながら、 ダイバーを翻弄するので、あたかも大きな全自動洗濯機の中に紛れ込んだ、 さかなのように揉み苦茶にされるのです。

この様な状況ですから、モルジブのダイビングスタイルは他所と違います。
潜るポイントが決まりましたら、潮の流れる遥か上流(この言葉は不適切ですが分かりやすくする為、あえて使います) に船を着け、そこから潜行しズーット川に流されながら着底します。

そこで岩に掴まりながら(まるで鯉のぼりの、吹き流し状態)、ナポレオンや、サメ、 亀などの大型の魚類を見てから浮上です。

浮上も又下流に向かってズーット流されながら徐々に水面に向かい、船に乗ります。 この様なダイビングスタイルがほとんどです。

どのぐらいの潮流か説明しますと、まるで増水した川の中をダイビングしているのと同じで、 まずマスクが水流でもぎ取られそう、スノーケルはビュウビュウいいながら震えていますし、 レギュレーターなどは、横を向くと海水が音を立ててなだれ込んできます。
(私の器材が古く潮流対策用に製作されていない)ですから力の無い人は、 両手だけが体の支えになり『コイノボリの吹き流し状態』になるのです。
カメラを持った人でも力の無い方は、ただ魚を見送るだけで終わってしまいます。

私はといいますと、現地ガイドの猿まねで、片足を岩の間に突っ込み、体を斜めに持ち上げ、 支えてみますが中々思うように猿真似が出来ません。
時々片手で体を支えて(吹き流し状態)写真を撮るのですが、 片手でカメラを顔の側まで引いてきて、潮に逆らわない様シャッターを押し、 潮にカメラを持って行かれながら片手でフイルムを巻き上げる。
(当然カメラホールドが甘くなりますから、 油断するとカメラが潮流と共にバイバイしなければならない)。
なぜにダイバーはこの危険に挑戦する価値があるか、考察してみると

(1)潮流があると小さな魚、中型の魚、大魚まで食物連鎖の構図が見ることが出来る。
(2)自分の技術アップの為。
(3)世界一の海を見に行って見たい。
(4)魚の個対数魚種ともに世界に誇れるインド洋。
(5)海水という物質を感じない透明度と明るい海色々有りますが、 この世界一の海にも欠点が有り、潮流のせいで綺麗な珊瑚が見れなく(枝サンゴ、テーブルサンゴ)、 ほとんどががれきのようになっています。
他方環礁の中のハウスリーフは真っ白な砂を背景に、生まれたばかりの小さな魚な達が沢山いる楽園で、世界の魚がここ から生まれ出るともいい、ユートピアを連想させるに十分な海でした。

次回はマイクロネシアポンペイ島の水中遺跡のお話をしましょう

つづく...。

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